ネットに砂糖は牛骨炭っていう「牛の骨を使って作られている」って書いてあったんだけどどうなの?
こういった疑問を解説したいと思います。
- 牛骨炭とは?
- 牛骨炭は今も砂糖に使われてる?
- 牛骨炭が嫌われる理由
牛骨炭とは?
牛骨炭ってなに?
牛の骨を高温で加熱して得られた炭だよ。冷蔵庫の消臭材と同じような自然由来のろ材だね。
でもなぜに牛の骨?(それに、よくある炭の消臭剤は備長炭だし…)
牛骨炭は伝統的に砂糖の脱色剤として使用されてきたんだよ。
サトウキビ糖液は、炭素を使用するか、特殊な樹脂を使用することで、色を取り除くことができます。伝統的な方法は、骨炭を使用することです。骨炭は、牛の骨を窯で焙煎して作った粉粒体で、90%のヒドロキシアパタイトと10%の炭素で構成されています。
M.Donovan (2003) Refining of Sugarbeet and Sugarcane. Encyclopedia of Food Sciences and Nutrition (Second Edition), 5659-5665.
知らなかった...
牛骨炭は今も砂糖に使われてる?
今も使われているの?
2023年現在、既存添加物名簿収載品目リストに骨炭が載っているから、日本国内において使用することはできるね。
骨炭(Bone Charcoal)ウシの骨から得られた、炭末及びリン酸カルシウムを主成分とするものをいう。
日本食品化学研究振興財団 既存添加物名簿
けれども、今は技術の革新によって、粒状炭や樹脂が使わている場合があるよ。
別のタイプの炭素脱色剤は粒状炭素です。通常、石炭から製造されます。 60%の炭素を含み、骨炭の10倍の脱色能力を持っています。
砂糖を脱色する最近の方法は、樹脂を使用することです。
M.Donovan (2003) Refining of Sugarbeet and Sugarcane. Encyclopedia of Food Sciences and Nutrition (Second Edition), 5659-5665.
つまり粒状炭や樹脂を使用している砂糖工場には、牛骨炭は使用されていないってこと?
そうなるね。精糖工業会に所属する主要な砂糖メーカーの製造工程を調べてみたよ。
半々だね。
最新の情報は自分で調べてね。
牛骨炭が避けられる理由
でも、伝統的に使われてきた牛骨炭がなぜ忌避の対象になったの?
一番の理由は食の多様性かな。それにBSE(俗に言う狂牛病)の悪印象も考えられるね。
狂牛病は、牛が病原性のプリオンに感染して発症するものって聞いたことがあるけど。骨炭は関係ないんじゃない?まず、骨炭は骨を加熱して作られているから、タンパク質であるプリオンは完全に変性して失活するはずだし。
その通りで、悪い印象が一人歩きしているだけだね。
骨炭を嫌うのは動物製品を一切使わず、また動物性食品も一切食べない完全菜食主義者(ヴィーガン)という食習慣を行う人たちだね。
骨炭は動物製品に当たるからか、なるほど。
ヴィーガニズムにベストな選択
ヴィーガンの人たちが砂糖を使うにはどうしたらいいの?
確実に動物性製品が使用されていない砂糖があるよ。
サトウキビ糖液は常に脱色工程を行いますが、ビート糖液はめったに脱色されません。
M.Donovan (2003) Refining of Sugarbeet and Sugarcane. Encyclopedia of Food Sciences and Nutrition (Second Edition), 5659-5665.
つまり、骨炭で脱色する必要のないてんさい糖(ビート糖)が動物性製品を使用しない砂糖になるね。
逆に自然なイメージのある「きび砂糖」や「黒糖」はサトウキビ由来だから牛骨炭が使われている可能性もあるのね。
さらに、てんさい糖はカニ由来のキトサンが使用されていない点でもヴィーガンの人たちにオススメだよ。
原料にてんさい糖を100%使用したオリゴ糖もおすすめだよ。普段使っている砂糖をオリゴ糖に置き換えるだけで、腸内環境の改善に繋がるんだ。
まとめ
- 牛骨炭は、砂糖の脱色剤として使われてきた歴史がある。
- 牛骨炭は、既存添加物として日本国内での使用が認められている。
- 砂糖メーカーによっては、現在も牛骨炭が使用されている。
- 牛骨炭は動物性製品であるため、完全菜食主義者(ヴィーガン)の人たちが嫌う。
- てんさい糖の精製過程で牛骨炭は使用されていない。