砂糖の製造工程にある洗糖工程ってなに?
砂糖を洗うの?
こういった疑問を解説したいと思います。
- 砂糖の製造工程のひとつである「洗糖工程」について知る
こちらの記事は砂糖の工場見学シリーズです。他の記事も見てみてね。
洗糖工程とは?
洗糖工程を動画で解説
製糖工場の洗糖(せんとう)工程ってなに?
洗糖工程は、原料糖の結晶表面についたゴミや不純物をとりのぞく工程です。
原料糖の表面には「汚れ」がついています。
汚れを水で洗うと結晶が溶けてしまいます。そのため、糖分を含んだ蜜で洗うことで結晶を溶かすことなく、結晶表面についた汚れを洗い流すことができます。
原料糖については↓の記事で解説しているよ。
その「蜜」ってなに?動画にある真っ黒いやつだよね。
正しくは糖蜜と呼ばれるものです。砂糖の精製過程で生じる副産物になります。糖分が多く含まれています。
糖蜜とは、原糖を精製する際に発生する副産物で比重の大きい(1.4)粘着性のある茶褐色の液体である。
砂糖製造の副産物とはいえ、その中には40~60%の糖分が含まれている。
独立行政法人農畜産業振興機構 糖蜜
この蜜を使うことで、結晶を溶かさないようにして、結晶表面の汚れを洗い流すんだね。
水で溶かすと、汚れとともに結晶も溶けてしまうね。
さらに温度を加えながら、蜜と原料糖を練り合わせます。
蜜側に汚れを移すんだ。
次に遠心分離機で、結晶と蜜を分けます。
遠心分離機は遠心力をかけて、重いものと軽いものを分けるものだね。洗濯機の脱水みたいなイメージか。
蜜は軽いから、遠心分離機で飛ばされて取り除かれます。その一方で、「結晶」と「蜜に溶けなかった大きなゴミ」は、次の工程に進みます。
先糖時
遠心分離後
結構きれいになったね。汚れが蜜側に移ったんだね。
遠心分離機で得られた結晶はその後、温水で溶かします。
さっき、水で洗うと結晶が溶けるから、糖蜜で洗ったのに…結局溶かすんだ。
さきほど、水に溶ける可溶性の汚れを落としたので、水に溶かしても問題ないです。
この次の工程で水に溶けない不溶性の汚れ(色素、無機塩などの不純物)を取り除いていきます。
さっきの洗糖は、結晶を水に溶かさないように、結晶表面の水に溶ける汚れを取り除くという器用なことをしていたんだ。
大きなゴミを取り除いて粗糖液ができます。
ここまでが洗糖工程になります。
この先の清浄工程・ろ過工程、脱色・脱塩精製工程で粗糖液に含まれた色素、無機塩などの不純物を取り除いて透明な糖液にしていきます。
この粗糖液から不純物を取り除いて、最終的には白い砂糖が作られるのね。
次は清浄工程・ろ過工程だね。粗糖液はどうなるんだろう。
まとめ
- 原料糖を蜜で洗うことで、結晶を溶かさないようにして、結晶表面の汚れを取り除く。
- 遠心分離機で蜜と結晶を分ける。汚れを取り除いた結晶は次の工程に進む。
- 水に溶かされ、粗糖液が作られる。