ネットに砂糖はカニ由来のなんかが使われているって書いてあったんだけど真相はどうなの?
こういった疑問を解説したいと思います。
- キチン・キトサンとは?
- カニ由来のキトサンは砂糖に含まれている?
- キトサンが避けられる理由
- ヴィーガニズムや宗教食にベストな砂糖を紹介!
キチン・キトサンとは?
キトサンって?カニと関係あるの?
キチンはカニ、エビの甲殻やイカの器官など、多くの生物に含まれている天然多糖類であり、地球上ではセルロースに次いで多い。
1970年ごろからキチン・キトサンの量産が始まり、その後品質の改良が進んだ結果、キチン・キトサンの持つ多様な特性、特に抗菌性、保湿性、増粘性、生体適合性、あるいはコレステロール低減などの生理活性を活かした応用製品の開発が活発に行われている。
キトサンの原料としては。95%以上がベニズワイガニの足を利用している。
特に食品添加物として認められているように安全性が極めて高い。
キチン・キトサンの食品への応用では、食品の日持ち向上や物性改善に利用するケースと各種生理活性を活かした機能性食品としての展開に大別される。
キチン・キトサン利用技術 独立行政法人 工業所有権総合情報館
キチン・キトサンは一般的に広く利用されているみたいだね。そして、カニ由来のものが多いみたいだよ。
(とくぼうをあげるやつとは違うか)
キトサンは食品添加物としてみとめられていることから、原料糖液における酸性物質や金属塩類などの不純除去に根強い需要を維持している。
キチン・キトサン利用技術 (2004) 独立行政法人 工業所有権総合情報館
搾汁液の清浄工程では、凝集剤による凝集沈殿反応で清浄化が行われ、凝集剤は食品利用の観点から、化学合成品に代わり現在は天然高分子のキトサンが使用されている。
大谷武人 et al. (2018) 鹿児島県工業技術センター No.32
どうやら、サトウキビを刈り取った後の原料糖工場で使用されるみたいだね。
カニ由来のキトサンは砂糖に含まれている?
いつも使っている砂糖にキトサンは含まれているの?
キトサンは含まれていないよ。製造過程でなくなってしまうんだ。
それに、キトサンはカニ由来であり、カニは食物アレルギー症状を引き起こす恐れがあることから、表示義務のある物質なんだ。もし仮にキトサンが残っていたら、砂糖の袋に「キトサン(カニ由来)」と表示されているはず。
砂糖に「カニ由来」なんて表示見たことないもんね。
キトサンが避けられる理由
でも、こんなに安全性が証明されているキトサンが嫌われるのはなんで?
一番の理由は食の多様性かな。動物製品を一切使わず、また動物性食品も一切食べない完全菜食主義者(ヴィーガン)という食習慣を行う人たちや宗教的にカニ由来のものを食することができない人たち(宗教食:コーシャ)が挙げられるよ。
いつも使っている砂糖にカニ由来のキトサンが使われているか調べることはできるの?
それが、原料糖工場の製造工程についてのデータは、全く開示されていないからインターネットで調べることが難しいんだ。個別に問い合わせるしかないね。
ヴィーガニズムや宗教食にベストな砂糖を紹介!
ヴィーガンや宗教食の人たちが砂糖を使うにはどうしたらいいの?
確実にキトサンが使用されていない砂糖があるよ。
ビート搾汁の精製は、ライムと二酸化炭素を使用して実行されます。
M.Donovan (2003) Refining of Sugarbeet and Sugarcane. Encyclopedia of Food Sciences and Nutrition (Second Edition), 5659-5665.
清浄は炭酸カルシウムにより、非糖分を吸着除去します。ロージュースに石灰液(CaO、ライムミルクと呼ばれます。)を添加し、タンパク、ペクチン等を凝集させます。次に炭酸ガスを吹き込み生じた炭酸カルシウムに、非糖分凝集物を吸着させ、ろ過機で除去します。
日本甜菜精糖株式会社 砂糖はこうして作られる
つまり、凝集剤として炭酸カルシウムを利用するてんさい糖(ビート糖)は、カニ由来のキトサンを使用しない砂糖になるね。
逆に自然なイメージのある「きび砂糖」や「黒糖」はサトウキビ由来だからキトサンが使われている可能性もあるのね。
さらに、てんさい糖は牛骨炭が使用されていない点でもヴィーガンの人たちにオススメだよ。
牛骨炭について詳しくはコチラ↓
原料にてんさい糖を100%使用したオリゴ糖もおすすめだよ。普段使っている砂糖をオリゴ糖に置き換えるだけで、腸内環境の改善に繋がるんだ。
まとめ
- キトサンはサトウキビから砂糖を製造する原料糖工場で使用されている。
- 砂糖にキトサンは含まれていない。
- カニ由来のキトサンは、完全菜食主義者(ヴィーガン)や宗教的に食べることができない人たちに忌避される。
- てんさい糖の精製過程ではカニ由来のキトサンが使用されていない。