黒糖、黒砂糖、加工黒糖と様々な名称があるけど、これらって同じもの?
こういった疑問を解説したいと思います。
- 黒糖、黒砂糖、加工黒糖の違い。
- 黒糖と黒砂糖の表示の歴史について。
- 見分け方について。
黒糖、黒砂糖、加工黒糖の違いについて
黒糖、黒砂糖、加工黒糖の違いについて教えてほしい
黒糖、黒砂糖、加工黒糖の定義について、消費者庁がガイドラインを出していました。
黒糖又は黒砂糖とは、さとうきびの搾り汁に中和、沈殿等による不純物の除去を行い、煮沸による濃縮を行った後、糖みつ分の分離等の加工を行わずに、冷却して製造した砂糖で、固形又は粉末状のものをいいます。
黒糖に粗糖等を加えて加工したものについては、義務表示事項の名称を単に「黒糖」又は「黒砂糖」と表示することはできませんが、純粋な「黒糖」ではないことが分かる名称であれば、黒糖を含む文言を名称(例えば、「加工黒糖」など)として表示することは可能です。
食品表示に関するQ&A
消費者庁は、黒糖や黒砂糖の表示の適正化を図るため、2011年3月に上記「食品表示に関するQ&A」を改正して、「黒糖」と「黒砂糖」は同意であることを明確化しました。
つまり、黒糖 = 黒砂糖ってことなんだね。そして、黒糖に手を加えたものが加工黒糖ってことなんだ。
けど、黒糖(黒砂糖)の定義の意味がわからないんだけど。
砂糖の精製過程を調べてみましょう。黒糖(黒砂糖)は、分蜜処理をせずに固めた砂糖です。詳しくは、こちらの工場見学ページ「分密工程」を見てください。
黒糖(黒砂糖)は「さとうきび」から不純物を取り除いたジュースをそのまま固めたものになります。一方で、固めずに分蜜してさらに不純物を取り除いたジュースを結晶化したものは粗糖(原料糖)になります。
なお、加工黒糖は黒糖(黒砂糖)を原料にして、様々な風味をつけたり、扱い安くしたり”加工”したものになります。つまり加工食品です。
それで、”加工”黒糖なんだね
黒糖と黒砂糖の表示の歴史について
黒糖と黒砂糖ってどうして同じものを指すのに、2つの言葉があるの?
消費者庁で2011年3月に公表された「黒砂糖の定義の明確化」の背景を調査しました。
黒糖の表示についての背景
「黒砂糖」の名称で流通している砂糖には、「黒糖」と同じものと、「黒糖」とは異なる方法で製造されたものがあり、関係者の間で、意見が分かれているなど、「黒糖」と「黒砂糖」の見解が不明確となっていました。
独立行政法人農畜産業振興機構 黒糖の表示の適正化について
もともと黒糖と黒砂糖の定義は同じものを指しているのか曖昧だったんだね。
製造業者によってもこだわりがありそうだね。
そうした背景があり、消費者庁は「黒糖」と「黒砂糖」をどう認識しているか消費者の意識調査を実施しました。
消費者の黒糖と黒砂糖の認識
消費者の認識度調査の結果、黒糖と黒砂糖が同じものと考える消費者、別なものと考える消費者、分からないと答える消費者が、ほぼ3分の1ずつに分れていました。事業者が黒糖でない砂糖を「黒砂糖」と表示した際、「黒砂糖」表示を見て黒糖と期待して購入する消費者が3割以上いることが明らかになり、消費者にとって分かりやすい表示のルールが必要であると判断しました。
独立行政法人農畜産業振興機構 黒糖の表示の適正化について
結果は、黒糖・黒砂糖を同じものと思う人、違うものを思う人、わからない人がほぼ均等に分かれていました。
明確な定義がなかったから、人によって考えがバラバラだったんだね。
黒糖、加工黒糖及び再製糖の名称
実際に販売されている商品についての調査も行われました。
市販食品の表示実態調査として、黒糖及び黒砂糖の用語を使用した商品の表示実態を把握するため、全国のデパート、スーパー、コンビニ等から黒糖53商品、加工黒糖及び再製糖73商品、黒糖及び黒砂糖を使用した菓子類200商品計326商品)を購入し、表示の実態を調査しました。外見上区別できない黒糖53商品、加工黒糖及び再製糖73商品の126商品では、一括表示の名称を「黒砂糖」としていた商品は10商品であり、このうち、黒糖と同一であったものは7商品、それ以外のもの(加工黒糖及び再製糖)が3商品であり、「黒砂糖」の用語が黒糖以外の砂糖の名称として使用されている例は極めて少ない結果でした。
独立行政法人農畜産業振興機構 黒糖の表示の適正化について
黒糖(黒砂糖)商品の多くは、約8割が黒糖表示だったんだね。黒砂糖表示のほうが少なかったんだ。
また、このときには黒糖ではないのに、黒糖と表示していた商品もあったみたいです。
なるほど、例えば、加工黒糖を黒糖や黒砂糖と表示するってことかな?
それでも、黒糖という表示は黒糖(黒砂糖)を指している商品が多かったみたいだね。
辞典・事典での文献調査について
文献調査を行った結果、広辞苑(岩波書店)、大辞林(三省堂)、総合食品事典(同文書院)、簡明食辞林(樹村房)、食品工業総合辞典(光琳)、食材図典Ⅱ(小学館)などの辞典・事典において、さとうきびの搾り汁をそのまま煮固めたものとして黒糖と黒砂糖を同じとする記載など同義とする事例が多数ありました。
独立行政法人農畜産業振興機構 黒糖の表示の適正化について
文献でも調べたんだね。
結果
消費者庁では、これらの結果から、黒砂糖は黒糖と同義であるとの見解が適当であると判断し、平成23年3月30日JAS法の解釈通知である「食品表示に関するQ&A」を改正し、黒糖と黒砂糖は同義である旨を明確にしました。
独立行政法人農畜産業振興機構 黒糖の表示の適正化について
そうして、黒糖と黒砂糖は同じ意味になったんだね。
黒糖(黒砂糖)と加工黒糖の見分け方について
自分が買った商品が黒糖(黒砂糖)か加工黒糖かを見分けるには、裏面を見てみましょう。
あとは、パッケージに加工黒糖と書いてあるかでも判断できるね。
精糖工業会・日本製糖協会に加盟している主要な精糖メーカーの黒砂糖と加工黒糖をまとめてみました。
黒糖
DM三井製糖
日新製糖
上野砂糖
加工黒糖
DM三井製糖
日新製糖
伊藤忠製糖
上野砂糖
まとめ
- 黒糖と黒砂糖は同じものを指す。
- 黒糖(黒砂糖)は「さとうきび」から不純物を取り除いて、そのまま固めたもの。
- 加工黒糖は、黒糖(黒砂糖)を原料にした加工食品。
- 黒糖(黒砂糖)は「さとうきび」が原料。加工黒糖は様々な原料を組み合わせて作っている。